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ザ・シューター 極大射程

6/2公開の映画「ザ・シューター 極大射程」を観てきました。

実は原作もずいぶん前に読んでいるのですが、原作「極大射程」(原題 Point of Impact)は「このミステリーがすごい!」の2000年海外部門で第1位となった小説で、シリアスなシーン、リアルな描写、謎解き、アクションなど、最後まで息もつかせないストーリーだったので、今回の映画化を楽しみにしていました。

原作のストーリーは、伝説の名スナイパーであるボブ・リー・スワガーが、自分を追い詰める悪の組織にして立ち向かい孤軍奮闘するというものですが、マシンガン片手にバッタバッタと敵を倒していくのではなく、遠方から息を潜めて一撃のチャンスをうかがう、というような独特の緊張感のある作品です。

公開終了間際で、しかもレイトショー(21:45上映開始)ということもあってガラガラでしたが、その分よりシリアスな雰囲気を味わえました。

まず全体の感想としては「良かった」です。しかし原作を読んでいると原作のでの重要なシーンやエピソードがカットされたり変わっていたりしたため、感情移入出来る度合いや緊張感は原作に比べると少し物足りなくも感じました。

なぜそこまで復讐に燃えるのか、というのがあまり描かれていなかったのですし(原作では描かれていました)、主人公が次々に敵を殺すシーンや原作にないラストシーンはちょっと違和感がありました。山荘でのシーンも一番の見せ場だったはずなんですが、大幅に内容が変えられていました。原作をそのまま映像化すると演出的に盛り上がりに欠けると判断されたのかもしれません。とにかくなんでもかんでも爆発、爆発、巨大な火の玉の大爆発、敵の弾は当たらずスワガーの弾はビシバシ。コマンドーかランボーかと思いました(笑)。

自分の無実を証明するというシーンも原作ではもっとドラマチックで感動した覚えがありますし、謎解きや相手の居場所を突き止めるシーンなどももっと事細かに書かれていたように思います。

しかし原作の内容を2時間で表現するというのはとてつもなく難しい、というよりほとんど無理だと思いますし、それを考えると映画の出来としては良かったといえるでしょう。大部分においてはシリアスな雰囲気が良く出てましたし、あとに書きますが銃器や射撃に関する描写が非常にリアルで、それもまた映画の緊張感を増していたように思います。

まだ観ていない方でこれから観に行く方、あるいはあとでDVDで観る予定の方もいると思うので、あまりネタバレにならないようにストーリー以外の部分についてのもう少し細かい感想を書きます。

まずは主人公であるボブ・リー・スワガー。原作ではベトナム戦争の帰還兵ということになっているので、僕の中のイメージは、「40~50歳くらいで髪もぼさぼさでひげを生やしていて、ちょっと一見パッとしない頑固な凄腕のベテランスナイパー、ボブ」でした。

しかし映画で主役を演じたマーク・ウォールバーグは若い! しかもかっこいい!(笑) 最初の方での山で隠居生活をしているあたりはまだそういう雰囲気があったのですが、最後の方はどんどん表情も引き締まってイケメン以外の何ものでもありませんね。最初はちょっと違和感ありましたが、まあこれはこれでありだなと思いました。

ウォールバーグはこの役作りのために銃器のトレーニングを受けただけでなく、実際にスナイパー養成スクールにも参加したそうです。なかなか優秀だったようで最後には1100m先のターゲットにもヒットさせたとか。そのおかげもあってか、構え、射撃後の素早いボルト操作などアクションのシーンもバッチリ決まっていました。

彼は左利きのため、右で射撃するのに苦労したそうです。M4やハンドガンを左で構えていたのでどうしてなのかなと思っていましたが、左利きだったんですね。右肩を怪我しているという演出もあったのかもしれませんが。

FBI捜査官ニック・メンフィス役のマイケル・ペーニャも良かったです。原作はもっとかっこいい人だったんですが(笑)、ちょっと頼りないような切れ者だかそうでないかわからないという独特の雰囲気が良かったですね。

サラ役のケイト・マーラも好演でした。心の移り変わりの過程をもっと描いて欲しかったですが、変化していく様子がとても良かったです。そしてもちろんとても綺麗な人だったというのも映画に花を添えていましたね。

ジョンソン大佐役のダニー・グローバー。グローバーが悪役を演じるというのはとても新鮮でした。ダニー・グローバーといえばリーサル・ウェポンシリーズでのメル・ギブソンの相棒役のイメージが強かったのですが、今回は悪役。しかしグローバーが悪役を演じると、品のある悪役という感じで、根っからのワルという感じがしませんでした(笑)。

さて、ヴァイオリニストをテーマにした映画で、主役がありえない弓の持ち方をしていたり、映像と音が違いすぎたり、どうみてもプロが使いそうもない安物の楽器を愛用していたりすると興ざめですが、こういう映画でも同じですね。とても狙撃に向かないライフルで、あり得ない姿勢であり得ない狙撃をされると、一気にその映画が軽薄なものに感じてしまいます。

しかしこの映画では主役がスナイパー。スナイパーとしての行動や遠距離射撃、銃の描写に関するシーンが、さすが他の映画に比べてずっとリアリティがあり緊張感がありました。

ちなみに、スナイパーといって一般の人が持つ印象って「ビルの屋上」「一匹狼」「ゴ○ゴ13」だと思いますが、現実は大分違います。

少し前にスカパー!のヒストリーチャンネルで放送された、この映画の公開を記念したスナイパーのドキュメンタリー番組を見たのですが、スナイパーは基本的には一人ではなく観測手と一緒に二人一組で行動するのが普通ですし、ギリースーツと呼ばれるボロ切れのような擬装用の服で周りの環境にいかにとけ込めるかが生死を分けます。高い射撃術を持つもの同士であれば、うまく隠れて先に相手を見つけた方が勝ち、という世界。その辺も映画では忠実に再現されていました。

また、この映画で使われる銃は全て実際に使用されているものばかりで、M40、バレット、レミントンM700、M4などが登場しましたが、間違ってもM4で狙撃するシーンなどはありませんでしたし、その使い分けもリアルでした。しかしやはりM4のシーンはコマンドーでなく原作通りにしてほしかった・・。

そうそう、冒頭でハードターゲットが登場したときにM40から50口径のバレットに持ち替えるシーンがあるのですが、あのバレットは何ていうモデルでしょうか。ボックスマガジン付きでボルトアクション。M82に見えましたがM82はセミオートのはず。それと、問題となるスワガーの迷彩塗装を施したボックスマガジン付きの大口径ライフルはチェイタックM200/.408というそうですが、あれは初めて見ましたし、名前も聞いたことすらありませんでした。

射撃のシーンもリアルでした。呼吸を整えてタイミングを見計らって撃つところや、距離や風などでスコープのダイヤルを調整したり、ターゲットの移動速度に合わせてリードを取ったりするあたりは今までの映画にはあまりなかったように思います。今までの映画だと、スコープのぞけば望遠鏡のようにターゲットが大写しになっていて、相手が止まっていようが動いていようが十字を合わせて撃てば必ず命中、みたいなのが多かったですからね。

ストーリーでいろいろ変えられてしまっているところはありますが、その分映像そして大音響の迫力といったものは映画ならではでした。特に射撃のシーンでの飾りのない銃声の大音響は想像以上でした。

また、人が撃たれるシーン、特にヘッドショットされるシーンがグロテスクで残虐に描いてあるのも印象的でした。PG-12なので子供に見せるわけにはいけませんが、人が撃たれる、あるいは殺されるというのを綺麗に描いてあるのはあまり好きではありません。主人公の気持ちに共感しつつも全てが美化されるものではないということ、人が死ぬということが綺麗事ではなく残虐なものだというのに目をつぶらないというのも必要だと思うんですよね。北野武作品なども同じ考えかもしれません。美しい暴力、美しい殺人なんてありませんし、残虐なものは残虐であることを示すというのは、大切なことだと思います。

まあそれはともかく、娯楽映画としてとてもスリリングで緊張感のある良い映画だったように感じました。それと同時に、原作の素晴らしさを再認識しました。機会があったら古本屋でも探してまた読んでみようかなという気になりました。

もう公開終了間近ですので、興味のある方はお早めに!

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コメント(4)

通りすがりのガンマニア :

あのM82、よく見ると作動不良を起こしてます(ボルトが途中で止まってたり)。
それでボブが手動で装填してるためボルトアクションのように見えてるわけです。ですから普通のM82ですよ。

まさぐちる :

おお、久しぶりにコメントが!

そうだったんですか、見た目がM82だったのでボルトを操作しているのが変だなと思ってました。情報ありがとうございます!

映画で見たときは一瞬で一度きりなので、よくわからないままだったんです。DVDが出たようですが、通りすがりのガンマニアさんはそちらでご覧になったんですか?

僕も昔はガンマニアだったのですが、先日20年ぶりに月刊GUNを買ってみました。変わってなかったです(笑)。

通りすがりのガンマニア :

映画館でも見ましたし、DVDでも見ました。自分も映画館では「なんで手動で装填してるんだろ?」と思いましたね。あそこは普通にオートで撃てばよかったんじゃないかと自分は思います。

G36K :

冒頭のバレットですが、あれは通常セミオートですがジャムることを恐れて手動にカスタムしたかただ単にジャムったか銃自体が壊れたものと思われます。バレットシリーズには手動単発のものもありますが、あれはどう見てもM82だと思います。あと、スワガーの相棒のスポッターが格好良すぎます!!彼には死んで欲しくなかった・・・w

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